ドキドキしたりキュンや萌えを楽しむBLと、アップダウンはないけど日常を切り取ったような世界観を楽しむBL。この作品は間違いなく後者で、作者さんの線が細くて素朴なタッチの絵柄も相まって、とても繊細な仕上がりになっています。プロローグ的な第0話を含め全8話+描き下ろしでボリュームたっぷり合計244ページ。複雑な家庭環境から他人との食事を楽しめず内向的になってしまった豊が、上田家の穣・種兄弟とその父に出会って、週末が楽しみになったり早く誰かと会いたいと思ったりという当たり前の幸せが実感できるようになっていくヒューマンドラマです。心情描写が丁寧で、豊と穣両方ともに感情移入しやすかった。種は可愛らしいし、お父さんもとても良い人で、読んでいてとても優しい気持ちになれました。
評価は★5つにしようかなと思いました。確かにこういう癒やし系作品の中だと文句なしに★5つですが、単純に、個人的にエロの有無は関係なくドキドキやキュン萌えがある作品の方が好みなので、少し好みとは違うものだったという理由で★4つにしました。