40歳。戦争へ行った祖父に当時の話を聞いたり、実家の周りでも散弾銃が打ち込まれたよ、みたいな話は聞いたことがあっても、幼い自分にはあまり想像できず。
むしろ怖がって避けていた。
そんな私も、自分自身も母となり、
人の「幸せ」を残す仕事に就いて長い。
この話も然り、いわゆる「戦争もの」と言われる漫画、映画をたびたび観るようになった。
何が目的でというと、よく分からないのだが、
ただひたすら登場人物に感情移入して涙することもあり、
描かれぬその両親の思いを想像してたまらない気持ちになったり、そのときそのときで色々だ。
月並みだが、我が子への愛おしさが増したり、今の平和な「私が生きる狭い世界」に感謝することもあれば、今も目を逸らしている現実があると常に強く感じる。
正直に申し上げて、気持ちの良い話ではないので、読み切れない人もいるのではないかと思う。
私も、やっぱり読後感は落ち込んでしまうし、どうしたって楽しい気持ちにはなれない。
でも、作者様の素晴らしい表現力でこの話を残してくれたことは、どう考えても称賛に値するし、
フィクションであっても、漫画という形で、この話に出会えて良かったと思う。
映画や動画のように目の前を流れていくではなく、
自分のペースでページをめくる、
時に大げさかもしれないドラマチックなビジュアルで、目に焼きつける、
そういう漫画の性質がとてもマッチしていると思う。
全ての人物の声が自分に流れ込んでくるのを感じる。