ヒロイン(伯爵令嬢ヴィオラ)が夫(公爵サーシス)と契約結婚をするところから始まります。ヒロインの方は実家の借金を肩代りしてもらい、夫の方は6年前からの愛人との生活を続ける為に“お飾り妻”が必要で利害が一致します。
ヒロインは事情をよく理解し、夫に煩わしい思いをさせることなどありません。夫が別棟で愛人と官能の日々を送ろうが、まったく頓着しません。暇を持て余し、屋敷の使用人達と仲良くなり、快適な家事労働生活を楽しみます。あくまでマイペースなヒロインに比べて、夫の方が勝手に影響を受けて変化していきます。
ヒロインは自分の居心地良さを追求しただけなのですが、無機質な感じだった屋敷がくつろげる温かみのある雰囲気に変わり、使用人達もやり甲斐を持って生き生きと働く様になります。訪ねて来た夫の両親にも気に入られ、どうしても必要な夜会では、公爵夫人として期待以上に社交をこなします。ドレスも宝石も欲しがらず、慎ましいヒロイン。
一方で最初から社交は自分に関係ないと切り捨てていた愛人は、ドレスや宝石も頻繁に欲しがる。夫はヒロインを妻にしなければ気にならなかったであろう点が気になりはじめ、本来、公爵としての責任を果たすべき自分を本当の意味で助けてくれるのは誰なのかを悟ります。そして自分勝手にも一方的に愛人に別れを突きつけます。
最高に好きなのは11話。目の前で愛人と別れ話をする夫をヒロインは一刀両断!いや〜面白い!爽快です。それに愛人の潔さも素敵!へたれなのは夫ばかり。
レビュー(いいね順)では不評の夫ですが、個人的にはあまり悪く思えません。愛人はプロの人だし、立場をわきまえる賢さのある人でした。夫は公爵の重責から逃げていましたが、このままではいけないと気付き、目を覚ますときが来たと、正妻とのあるべき関係を築こうとします。
夫は物腰は優雅で特務師団長として職責はきちんと果たし、元々優秀な人材。一度妖艶な踊り子の色香に迷ってしまっても、若気の至りとして再スタートが許されてもいいのでは?と思います。
そこから先は夫がどう頑張ってヒロインの愛情を勝ち得るかが焦点になってきます。ヒロインだって夫から愛されて幸せになるのはいい事ですし、何より大事な跡継ぎも授かるかもしれません、公爵家として夫が責務を果たすのは、大勢の使用人と領民達の幸せに直結します。夫の挽回が期待されます。