作者さん買いです。
ああ…終わってしまった。
中村明日美子先生の物語はいつも美しく儚く切ない。
双子の少年、アーダルテとアードルテ。
一方は皇太子として育ちもう一方は自身の素性も知らずに軟禁された生活を強いられている。
ある日皇太子であるアーダルテがアードルテの元を訪ねたところから一気に物語は広がる。
この双子の話に終始するのではと思いきや全く別の話へと進んでいく。
しかし最後は全て繋がっていたことに気付かされる。
その紡がれ方は物語に登場する古の「馬」の飛行路のように鮮やかで壮大。
愛情、愛憎、憐憫、恋情、絶望、希望、繁栄、衰退、綺麗も汚いも慈悲も残酷さも全て詰め込まれているのに引き算の美学が冴え渡っているからセリフも描写もまったくごちゃついていない。
本当に素晴らしい作品。
決して幸せな話ではないけれど読むことができて本当に良かった。