不思議なタイトルとなんともしっとりした絵の表紙。暗くて重そうな話なのかな?とやや迷いつつ、BL作品を久しぶりに色々読んでいるところだったので購入。
10代特有の揺れ、危うさ、強さ…自分が経験してきた10代の頃の感情を引っ張り出されるような、ヒリヒリするような心理描写が見事で、話に引き込まれました。被写界深度も読みましたが、やはり心理描写が上手な作家さんだと思います。
特に志井の環に対する自分の気持ちへの葛藤や欲望への一連の体験は、目を覆いたくなるような気持ちになりました。感情移入しすぎですね。
環の育ってきた環境が重いので、全体的にシリアスな雰囲気の作品ですが、だからと言って暗いかと言ったらそんなことはなく、友達同士の会話のやりとりなんて思わず吹き出してしまいました。
主人公2人の性格設定もジメジメしてないので、重くなりすぎずに読めます。
2巻の作者コメントに『志井なりの攻め方を見守って』とありますが、まさに志井なりの攻め方が展開されます。
良い子ですね、志井。環の壁を壊すのはかなりハードルが高い気がしますが、彼なら相手を尊重しながら、でも自分の想いを成就させそうな、強さを感じます!
苑生先生、絵がお上手です。
学生〜大人(青年)の絵は上手でも、子ども(中年、老人も)の絵になると、アレ?となる描き手も多いですが、2人の子ども時代がとても上手でびっくりしました!小学生、中学生にそれぞれちゃんと見えます。画力がないと差を表現するの、難しいと思います。
小学生の環と志井、すごく可愛い。
好みの絵なのでページをめくるのが楽しいです。
続きが出るのは時間がかかりそうですが、最後まで見届けたい作品です。