弟・史嵩目線から見た、5つ上の兄・嵩大の話。ヤングケアラー、LGBTQ、母子家庭など、昨今ニュースなどでもよく取り上げられるようになっている社会問題要素をこれでもかと詰め込んでいる。それは確かに大事なことだが、弟が自分史を記録解説するように駆け足(小学生〜大人で親になるまで)で話が進む為か、全ての問題を羅列してただ表面を攫っているだけの印象。ニュースなどのヘッドラインイメージ。人物もまた然り。ほとんど掘り下げられないので、ナレーション立場の弟も含め群衆劇のようでキャラが立ってこない。故にどれにも焦点を当てきれていないので、社会派作品としても弱く、創作物語作品としても弱く、どっちつかずで、これだけではコミックス作品としての魅力は薄い。その世界に入りこめない。短編なのに要素を入れ過ぎなのか?これにいい脚本や演出がつけばいい映画になりそうだが。とはいえ、母親にゲイバレして責められる兄を庇った時に放った弟の台詞は、とても大事なことを言っていてよかった。えちは最後の『親友の話』に1回だけ描かれています。