別の作家さんで、バース性の始まりのような時代のお話を読んだことがあります。今回は「最後のαとΩ」のお話。最初も最後も共通して物悲しさがあります。
最後のαとΩは運命の番なのか。それとも偶然の出会いなのか。出会った瞬間に惹かれあい、お互いしか見えない。お互いのバース性が判ってから、きっとその葛藤は次第に大きく膨れ上がったのではないか──結果、犬飼の行動になるのではないか。綾瀬をバース性に関係なく愛している、綾瀬をバース性から解放してあげたい、そう思う気持ちが強かったのではないか‥綾瀬も同様だったことでしょう。ただ純粋に犬飼を愛している。愛を証明したいだけなのに、愛していると伝えたいだけなのにβでない自分には叶わぬことだと思ったでしょう二人の、儚くも物悲しく美しいお話でした。二人が一緒に生きていく‥綾瀬のバース性は犬飼のようになんらかの変化が起こるのか、そこまで知りたかったですね。