映画を見て、いつか原作を読んでみたいなと思っていた作品。恭一が流され侍なのは映画で知っていたけれど、本当に、ほんと~に流されるまま、フラフラゆらゆらした男だった。
今ヶ瀬が粘着質の情緒不安定男なのは間違いない。でも、《この人しかいらない》と思える人に出会えたら、出会ってしまったら無我夢中になって形振り構わずぶつかっていってしまうのかもしれない。
恭一は自分が愛するより愛されることを無意識に選んでいて、容姿も人柄も良くて能力もあるから好きになる子は多かっただろうし、それに流されてきたのだろうなというのが手に取るように分かるタイプ。だから今までの女性たちより強く求める今ヶ瀬に流され、その今ヶ瀬が流れを止めようとした瞬間、焦って流れを引き戻そうとする。今ヶ瀬は自分を面倒くさい男と思っているようだけれど、恭一の方が数倍面倒くさいと思う。
ハッピーエンドのようで崩壊までのカウントダウンを見せられているような気分になり、こんな作品に初めて出会った。