じゅわっと浮き出るような血色感のある絵と、優しいミルクの中に少しだけコーヒーを混ぜたようなお話。雰囲気や作中時期もあいまって、寒い季節に合う作品だと思います。
デリのスパダリ攻め×本番が苦手な受け。スパダリもの見ると、相手方の意思の強さにいつも感動します。何でもできる人が隣にいてよく、相手に全部任せきりにせず、自分で考えて行動できるよなあと。よほど自分がしっかりしていて、相手を思いやれる思慮の深さがあるんでしょう。そういうところにきっと救われるから、お互いにかけがえのない人になるんですね。この作品の攻めであるハルさんの過去の恋人さんが出てきますけど、なるほどと思いました。スパダリって失敗するとああいう人を生み出す可能性があるのか。だからこそ、今回のお二人の強さが、互いに支えになっているという展開は、思慮という優しさを得た人間の希望の証明だなあと思いました。
巻末に入ってくる別カプの話もめちゃくちゃ可愛いくて大好き。この一冊は通して可愛いという言葉が多く出てきますが、このお二方のやり取りはぎゅっと詰め込まれている分可愛いの質量も詰まっている。疾走感のある可愛いです。