昭和30年。広島。
すべてを焼き尽くされたあの日から10年。
母と共に慎ましく生きる、ある女性の物語――。
戦後の広島を舞台にした短編集。
この中に入っている「夕凪の街」は、初めて読み終わったとき衝撃でしばらく動けませんでした。
一見穏やかで優しい日常から、想像を超えた結末へたたみかけるように向かってゆく。
私の中で「ペリリュー~楽園のゲルニカ」に匹敵する、一度読んだら一生忘れられない作品。
とても短い短編ですが、8月6日が来るたびにこの作品を思い出す。
あのたった一発の爆弾で、どれだけの人生が、運命が、狂ってしまったのだろう。
シーモアさんにはないですが、岩波書店から出ている「図録 原爆の絵」も機会があったら読んでみてほしい。多分図書館で読めるんじゃないかな…
実際に8月6日の広島を体験した人々が、当時の光景を描いた画集です。
一枚一枚に込められた、想像を絶する苦しみに言葉を失う。
あれを使用したから戦争が早く終結したとか、核抑止力だなんだと言ってる人は、一度広島の原爆資料館を見に行ってほしい。
あれを本当に使用したら、どうなるのか。
もしも自分が被爆したら、どうなるのか。
実際に経験しなくても、それを想像し、考えることを忘れないでほしい。
この作品はまさに自分の身に起こったこととして体感させられる作品。
怖いです。泣きたくなります。
でも読んでよかった