君君シリーズ最高だった。3冊全部よかった。
そしてこちらが初単行本なのかぁとしばし感慨にふけりました。
今まで昔の作品読んでも絵が変わらない方だなって思っていたけど、さすがに初めて少し感じが違うなと思いました。でももうこの頃から素晴らしい画力です。ヒカルの眉や口角がほんの少し変わっただけで、無表情から慈愛に満ちた表情になる。改めて秀良子という漫画家は、セリフは多過ぎず絵で心情を表してくれる&それを正しく受け止めてくれるだろうと読者を信じてくれる、一流の作家様だと思います。
冴えない大学生健太郎は何をしてもパッとしない。地味な容姿で学力も普通、彼女いない歴=年齢。道を歩けば飛んできたボールが頭に当たり失神…。
この日以降謎の眠気に襲われ、ある日目覚めたら目の前に見知らぬイケメンがおり、曰く健太郎が意識を失っている間、彼の体の中に死んだ恋人が入り込んでいるというーー。
秀良子先生の作品は、たとえば一番に浮かぶSTAYGOLDのように生々しいまでのリアルさがたまらんという印象ですが、こういった系もお描きになるのかと驚きました。
無口で無表情なイケメンが一体何を考えているのか健太郎と共に読者も困惑します。ふと見せる優しい表情や仕草にドキリとし、悲しそうな瞳に戸惑い、常に心をざわつかせてくれます。ネタバレは避け書ける範囲で…亡くなった彼女みっちゃんは写真で見ると儚げな美女だけど性格はかなり男前。そして賢い。突然の別れは無念だったろうに少しずつ変わっていくヒカルの複雑な気持ちに気付きつつも笑ってて、もう元に戻れないことを悟った時も笑顔で彼を健太郎に託す。けんちゃんなら安心だって。そうこの冴えない君、幼稚園の頃はかっこよかったんだから!やんちゃっ子たちは「かっこつけマン」なんて呼んでいたけど、弱き者を守るおたすけマンだったのよ。P9の、泣いている子の元に一目散に飛んでくる絵が可愛くて何度も見返しちゃう(笑)
だから、ね。けんちゃんは本当はちっとも冴えない君じゃないんだよー。
ファンになって数年、ようやく読んだデビュー作もまさに秀良子ワールドでした。
明るく別れたみっちゃんの、最後に滲んだ涙を読者は見逃しません。