前半はちょっとしたすごみを時代背景と共に体験感覚で読んでいた。後半、気の荒さ、血気盛んな職人魂を喧嘩っ早さの描写を通じて体感した気がした。
仕事には男も女もない、そこも描きたかったのだろう、甘えがなくてピンと姿勢真っ直ぐの職人のカシラは威勢がいいが、下の者は性別に理由を求めるところの描写に、いいようのないやるせなさも感じた。
細部の描写に圧倒される。職人の描写だからと言ってしまえばそうなのだが、職人の仕事が絵を通じて伝わらなかったら説得力もなにもなかっただろう。
ごくら町の人々の仕事ぶりは特異なひとつの町のことなのではなく、こういう町をひとつ採り上げてみた、といった風情。
頭の下がる職人ぶりで、仕事を進めるも、きっとみんなもそうだったんだよ、と、いわれてる気がしてしまった。
割引を利用して買ったがそれで良かったと思う。シーモア(島)で紹介されてから長いことチャンスを待っていた。機会を得られてよかった。