ヒロイン(白魔道士セシル)は、魔獣討伐に参加出来ない落ちこぼれ魔道士。王宮パーティーでヒーロー(公爵:聖騎士隊長オズワルド)に解毒薬をぶっかけたところから物語が始まります。
ヒーローは、魔獣による負傷を負い邪気に悩まされていましたが、秘匿の為、白魔道士の治療を受けておらず、有効な手段がありませんでした。そんな時、ヒロインの解毒薬が最も有効だったのです。
ヒーローは強引にヒロインを連れ去り、本格的な治療の為、ヒロインを側に置きたいと、白魔術最高権威であるヒロインの師匠に申し入れ許可されます。その後、治療の為のふたりきりの生活が始まります。
ヒロイン…よくしゃべる。立て板に水、ペラペラ、ペラペラ、めちゃくちゃしゃべります。それに取り繕いません。そして色気もありません。ヒーローが無防備過ぎるヒロインを、警告の為に押し倒しますが「は〜やれやれ」と言ったり。社交界で浮名を流すヒーローですが、ペースを乱されるばかり。スマートな貴公子ぶりをまったく発揮出来ず、口の減らないヒロインと言い合うのでした。
ヒロインのことを趣味じゃないと言い切ったのはヒーローの方ですが、時間が経つにつれヒロインから異性と意識されない事を不満に思います。ヒロインもある事情から恋愛感情を回避せざるを得ません。しかし惹かれていくのを自覚します。そんなおりヒーローが改めて「対象外だ」と言うのを聞き、自戒を強めます。失恋したかのような痛みを伴って。
外的要因に迫られ、内心は揺れ動きながらも、最終手段の施術を決意するヒロイン。ヒーローに師匠から授けられた薬を盛ります。それは媚薬と記憶封じの効果があり、ヒーローの邪気をすべて引き受ける為に破瓜するのでした。自分は愛されないと承知した上で。
あくまで治療、施術だと自ら割り切ろうとするヒロイン。不覚にも愛した男の為に身体と心を代償にします。しかもその事実を男に明かしません。見返りを求める事を潔しとしないのでした。まだ年若い女性にしては重すぎる負担。ここはヒーローに洞察力と男らしさを発揮して貰いたい。黙ってひとりで背負い込むヒロインを救って欲しい。ヒーローの発奮を期待してしまうのでした。