生真面目なヒロインと、職務に忠実なヒーロー。ふたりともちょっとお固い感じがして、これは恋愛要素より、聖女としての役割り重視のお話しかと思いきや、なんの、なんの原作では後々、甘々でした。
ヒロイン(茅野祐奈)は突然異世界に転送されてしまう。そこで保護してくれた神父にさしあたり必要な知識を説明されます。「34年毎に聖女が現れる」「聖女はウトナまで聖典を取りに行く」「元の世界には戻れない」そして祐奈は「過去の聖女達とあまりに違う為問題になる、顔を隠した方が良い」とヴェールを渡されます。ヒロインは人格者そうな神父の忠告を真摯に受け止めます。
王都から迎えの騎士(ショー)は初対面から邪険な態度、居丈高。実はヒロインは2人目の聖女で歓迎されていませんでした。騎士の思い込みが強く、誤解され、騎士に性的な誘いかけをした等、ヒロインの評価は地に落ちます。大隊に警護される1人目の聖女(アリス)と違い冷遇され、騎士2人、侍女1人の随行。しかしこれがヒロインの幸運の出会い、護衛騎士のひとりがヒーロー(騎士ラング准将)なのでした。
ヒロインは1人目の聖女とは別のルートを進み、道中の街で課題解決を行い、報酬として“聖具の加護”を授けてもらいながら進みます。この道中の街々と現地の人々が個性的。課題解決にどう挑むかなど、ストーリーとしての面白さがしっかりあります。そしてお固いふたりのラブストーリー。初見では甘くなりそうもなく期待薄でしたが…純愛なのですが、かつ強く肉感的でもないのですが、原作では甘々が続き、ニマニマさせられました。結構な甘々でした。
主人公ふたりは常識人で貞操観念も固い、だけど恋愛面では“天然”ぶりを発揮します。ヒーローは素の調子で「口説き文句」の様なセリフをさらっと言ってのけますし、純粋な護衛なのか、嫉妬混じりなのかモヤモヤさせられる行動。ヒロインは事情があって自己評価が低く、恋愛にも疎い。ヒーローの事を護衛騎士として信頼しきっている為、隙だらけ&酔って甘えたりしますが、自分の性的魅力に無自覚。ヒーローにとっては、ご褒美?もしくは拷問?自制心を試され続けます。それが脇で見ている者にとっては“萌”なのでした。焦らされます。
原作はまだまだ未完で長編になりそうです。冒険譚&ラブストーリー、ダブルで楽しめます。