自閉症について知るのに良書です。作者の戸部先生ご自身が作品の中でたびたび触れているように、全ての自閉症児が光くんと同じというわけではなく、かなり個人差があるそうですが、自閉症児の一例としてでも知る価値はあると思います。それにしても、自閉症児の母である主人公の苦労たるや、読んでいて胸が締め付けられるようでした。言葉も気持ちもなかなか伝わらない我が子を抱えて、苦悩や葛藤、挫折感や無力感、周囲の誤解や無理解…このレビューを書きながら思い出すだけでも辛い(泣)。作中、主人公は我が子が自閉症という事実を受け入れて理解して、周囲の理解や支援も得られて、前向きに生きていけるようになりますが、現実ではそうもいかずに苦しむ親も子供もたくさんいるのでしょうね。この作品を通して、自閉症についての理解が広まってほしいと心から願います。