テンポよく面白い!働く自立した女性が主人公な作品が好きなので、とても楽しく読めています。ヒロイン(クリスティーヌ)は世の恋愛至上主義に賛同出来ず、ふらふらと不誠実で悪びれない婚約者に婚約破棄を申し入れ一泡吹かせる為に、協力してくれるパートナーを探します。それに同意してくれた見目麗しいそこそこ地位のありそうな男性と合意し、偽装結婚を約束しますが、この男性『鬼の宰相パトリック』と呼ばれる宰相閣下でした。しかしお互い貞淑を守りさえすれば、後は自由という契約結婚に旨みを覚えているふたりは、既婚者というステータスを保ちつつ、各々仕事に邁進します。
特にヒロインは、まだ世間の風当たりが強い職業婦人となり、思う存分働きます。この事実は夫にも明かしていない為、母方の旧姓を使い、変装もしているし、隠し仰せているつもりです。粉骨砕身働くヒロインは出世し、屋敷で顔を会わすことなく3年たった夫の宰相室専任補佐官に任命されますが、ヒロインは別人だと認識されていると信じています。その為、夫が他人である筈の自分に打ち解けた態度を見せるのが、モヤモヤします。それにコミュニケーションが親密さを増すにつれ、トキメキながらも、これは妻以外との浮気じゃないの?とさらに悩みます。
宰相閣下は10歳程も年上だし、切れ者、ヒロインより何枚も上手なのですが、懸命なヒロインに、絆されて、惚れています。妻と甘い時間を持ちたい、欲望を澄ました様子でストレートにぶつけてくるのでした。
最初は夫婦で過労死しそうな様子ですが、やがて甘々になります。夫に魅了されて、恥ずかしそうなヒロインが幸せに包まれるラブストーリーでした。