このレビューはネタバレを含みます▼
安易におススメできないけど、剥き出しの人間の姿から目を背けられない。
地雷をもぶっとばす勢いにのまれて一気に読んでしまいました。
全員人生のどこかのタイミングでぶっ壊れていて、彼らの世界の中ではおそらくあれが幸せの最適解だったと思う。
ネタバレなしで読むことをお勧めしたいのに、以下盛大にネタバレしてしまっています。
プレイのみならずメンタル系地雷もあるのでご注意を。
双子の妹の瑠璃の「自分はお兄ちゃんの宝箱」表現にゾワっとしました。宝物ではなく宝箱。
お兄ちゃんが受け止められないものを保存しておいてあげる、はやく私の宝箱に入れと言う。
でもその宝箱はゴミ箱でもあるわけで。それは恨みなのか愛なのか…やはり瑠璃も壊れている。どちらなのかもはや私にはわからないですが・・・
そしてアキラにとっては人生で一番の衝撃であったであろう光瑠との最初の行為。
地獄に叩き落され精神が崩壊した青春時代を経てなお、光瑠への愛と執着は消えるどころか増していったことは容易に想像できます。そして最後のシーンのイチゴみるくに未だ止まない光瑠への想いを感じました。アキラの人生も光瑠に囚われ続けて彼を支配しているようで支配されてもいる。共依存、溺愛、それでは足りない何かがそこにあります。
1人の人間が管理され身も心も壊されていく様は怖いけど、当の光瑠が不幸そうには見えない。
それを言うなら家族や社会的な立場に支配されていたそれまでの光瑠のほうがよっぽど不幸そうなんですよね・・清く正しく生きるのが正解か剥き出しで心のままに生きるのが正解か、どっちが正しいかなんてわからないけど、幸せだと感じられる方がその人の正解だと信じたい。ただもはやその幸せすら推し量れないほど光瑠が壊れすぎていて・・・それでも私はこれはハッピーエンドだと信じたい。