主人公は私が苦手なタイプの人間だった。自分の過ちと向き合わず、謝罪よりも「なかったことにならないかな」と考えてしまう性格。実生活で似たような性格の人に振り回された経験があるので読んでいて寒気がした。
それなのに読み進められるのは、緒之先生の力量だと思う。前作『コータロー君は嘘つき』でも感じたけど、人物の見せ方や台詞回しが上手い。
主人公は、貧困と親の放任の中で育ち、周囲との関係を壊しながら生きてきた。過去の出来事から罪悪感を感じ、孤独な学生生活を送る。大学進学を機に新しい人生を始めようとするが、過去を知る男の子と再会し、向き合いたくなかった問題と再び向き合うことになる。
主人公には共感できないし苦手。でも続きが気になる。令和版シンデレラと言われているけど、私はタイトルの『身の程知らずな』というところが好き。
若い頃、近所に住む大富豪のおじいちゃんから「身の丈に合った生き方をしなさい」と言われたことがある。欲張らず、かといって卑下にもならない。そんなような言い方だった気がする。
『身の程知らずな』という言葉は物語の核心を表してるように思う。