輝かんばかりに美麗で妖艶な表紙を見た瞬間に心を撃ち抜かれました。頁の隅から隅まで緻密に書き込まれた背景や眩い風景は画集のようです。
どこを切り取っても絵になる底知れぬ美しさと物語性の強さを持った稀有な漫画ではないでしょうか。
単話から惚れ込んでのめり込んで、天稟を考えない日はなかったと言えるほど私の人生を変えた素晴らしい作品です。
それはきっと天稟という物語がたかせりえ先生の真骨頂である本格時代劇に沿ったBLという、新様式だったことが理由の一つだと思います。
冒頭からして物語への引きが強く、これは恋愛だけに終わる話ではないだろうと胸躍らせました。江戸を舞台に武士の矜持や責務、暗躍する陰の稼業など見所が多く散りばめられています。
とはいえ恋愛パートも全く手は抜かれておりません!むしろそんなにお出しします?!褌一丁///!はだけた着物が///!と思うほど艶々で蕩けるような場面が目白押しです。この作品で初めてふんどしというものがこれほど良きものかと気づき、凛々しい月代や乱れた髷があれほど色気を醸すのか……と新しい扉を大きく開きました。
主人公の武士、甚介と介錯人である和泉が出会った時から物語は深く鋭く突き刺さり、運命の渦に巻き込まれていく様は痛々しくも、すぐに惹かれあった甚いづはまだ初々しい両片思い。早く思いを伝え合って欲しい、けれど和泉の方には深い訳がある。
その訳と闇が徐々に明かされていく終盤辺りには、新たな2人もお目見えして、読者の心は千々に乱れてしまっていると思います。
なんと言ってもその和泉の兄と鎺のカプはどろどろの沼で、この2人にどハマりしました。はば兄たちに一体何があったのか、和泉と関係はあるのか。
和泉が自分の名前を甚介に呼ばれた時に脳裏をよぎった人物は誰なのでしょう。とある人物が正解だとすればかなり込み入った事情がありそうなので、そこも主人公カプ達と同様に注目です。
単話を追いかけ一年経って読む、おまけ特典の甚いづには大変感慨深いものがありました。2人の絵を見て涙腺は緩みっぱなしです。そしてその会話文から作者様が仰る、ここからの土砂降りを潜り抜けた先にはこのような2人がいるのかと、でもそこへ辿り着くまでにどれほどのドラマと厳しい展開が続くのか想像すると胸が締め付けられる様ですが、暖かい陽の光のような甚いづの絵に救われました。盛りだくさんな特典は必見です。