『正義』『向上心』『道徳的で良い子』な槇村さとるらしい熱さは比較的控えめ。
主人公はお嬢様育ちの短大生、百恵。父親の会社が倒産し、裕福な生活を失う。悲しみの中、偶然入った洋食屋のスープに感動しバイトを始めることに。シェフの織田は凄腕だが偏屈で厳しい。料理の知識も経験もない百恵は失敗ばかり。それでも料理の魅力に取り憑かれ、何度も挫折しながら成長していく。
スパダリが溺愛してくれたり、優しくして肯定してくれる。そういうものはない。
仕事、挫折、修行。プロになる覚悟。自分はどうなりたいのか。自立するためには。恋愛も仕事も誠実に向き合う人達の話。
自分は直向きに頑張る百恵に憧れていた。こういう女性になりたかった。…なってない。どこで忘れちゃったんだろ。もう一度読まないと。
女性のバイフ"ル的存在の先生達の漫画は若いうちに読むのがオススメだと思う。向上心に満ちていて、読んで前を向きたくなる、そんな体力があるうちに。今の自分はもう癒しが欲しい。槇村作品はパワーを吸い取られる。
一番好きなのは、雪の中で父親とラーメンの屋台を探し回り、ようやく辿り着いて満足そうに食べる回想シーン。苦労してでも美味しいものを食べるべき。そう言われた気がした。
「死にたくなったら美味しいものを食べるんだ。人間腹が減るとろくなことを考えないからな」