通っているバーの顔見知りの男女二人が体の関係から始める大人の恋愛のお話。
はるこ先生のお話は、本当にどんな設定でも男女のやり取りがとてもリアルで毎回引き出しの多さに驚きます。今回の結婚適齢期の男女のやり取りも秀逸で、色々な過去があり、経験があるからこその後腐れない体の関係だったはずなのに、いつの間にか好きになってしまい苦しむ裕子の気持ちが本当に切ないです。あんなヤツ嫌い、なんて考えてる時点でもう好きなのに、悔しいし悲しいから認めたくない。俺のこと好きにならないでとか、家までの道覚えないでなんてセリフは最低最悪のクズ男の発言だって分かっているのに止められない想いがひしひしと伝わってきました。四條さんは最初こそ何を考えているのか掴めない感じでしたが、本心を知ってしまうと面倒くさい弱気な男で、強気な発言のあれこれは去勢を張っていたんだなと思うと可愛いと思いました。好きだと素直に言えずに相手に言わせようと画策し、強がったり試したりする面倒くさい駆け引きの連続が恋愛のヒリヒリした醍醐味を上手く表現していて、流石だなと感心しました。大人になると突っ走れない事情があったり、身動きが取れない状況があって、気持ちの思うままにならないところもちゃんと描かれていて、はるこ先生の作品は本当にリアルの塊だなと感じました。
ちなみに、四條は超オレ様で自己中で面倒くさい男ですが、こういうタイプ大好きです。こういう男のワガママっぷりが逆に男らしさを表していて、付き合う裕子は大変かもしれないけどほのぼのとした恋愛よりも読んでいてドキドキして楽しめます。四條ははるこ先生の作品の中で一番好きな男です。