私は、無理な世界だった。ただただ特異さに驚嘆!
奇才といったらいいのか、独特の感性で、全くこの世ならざる場、ヒトならざるものを、まるで造物主のように。。。
そして有機体として、時に時間をかけて学習し、時に感情を抱き、そして、私たちと異なる時計で生活している。
バディなのか、独立しているのか、依存しているのか、そこに通わせているのは果たして愛情なのか。
この作品集に登場する人の殆どは、人間の暮らしをしてはいても、私たちのような思考回路を持たない。
と、それが恰も「普通」であるかのように描かれる。
絵も随所でどこかグニャリと空間が変形した感覚で、リアルな風景ではないような抽象画が描かれて、奇妙な世界を肯定。
私には、そのこの世ならざる景色に心休まることが無いのが、読んでいてリラックス出来ず、リアルではないホラーを眺めさせられた感じが抜けなかった。
市川先生の紡ぐ世界、そういう表現が一層命を自在に生殺与奪する根幹を成す。ために、登場するキャラ達の閉じた毎日、彼らのなかでの生活と時間が未来や希望を感じさせることも、喜びや救いも見えず、ただただ一種異様な成り立ちの空間があった。
間違いなく、恐るべき才能を持っておられると感じるものの、身のすくむ想いで読み終えた。全く此処に在ることでは無いことなのに。
希有な才能に敬意を表して星を付けたが、作品世界が全然別次元にあって共感するような類の作品でないので、正直戸惑いの方が大きくて迷った。