ネタバレ・感想あり虫と歌 市川春子作品集のレビュー

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「欠けたひとつを探してる」
ネタバレ
2024年12月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ この、アニメ『宝石の国』のオープニングテーマの一節が、とても的確に市川春子作品を表しているなと思っています。
著者作品には常にどこかに欠落があり、どこかが埋まってもまた欠ける、決して完全に埋まることが無いように思います。その欠けたなにかを求めること、それこそが生命そのものなのではないかと思い、だからこそ私はその欠落に、市川春子作品に、心を引かれるのだと感じています。
サイエンスを交えたフシギの向こう側に見える「人」の深層が素晴らしい。
〜〜〜〜〜
約240ページ、読切4作品+描き下ろしショート漫画入り。全篇星5つ。
・『星の恋人』叔父のもとで暮らすことになった主人公、そして叔父と共に暮らしている少女。叔父と少女の関係性が複雑と同時に単純で良い。幸せそうなラストではあるものの、これ、著者作品中一番闇が深いと思っています。家族から弾き出された叔父、その叔父の義兄への思慕から生まれたさつき、さつきの叔父を思う気持ちから生まれたつつじ、そしてつつじがさつきを思う気持ちからまた誰かが……と、表向きには増えていくんですが、名前にも表れているようにそれはあくまでも「挿し木」。その中心にあるのは、叔父の孤独と叔父の気持ちだけ。他者が存在しない、閉じた楽園なのではないかと思うのです。
・『ヴァイオライト』飛行機の遭難での生き残り、救助を求めての道行。終盤での、助けようと伸ばした手が掴む絶望感がつらい。雑誌掲載時と大幅に変更が加えられており、雑誌(アフタヌーン2008年7月号)と見比べると、『銀河鉄道の夜』の初期形(ブルカニロ博士が出てくる)と現在形の違いに似た趣があります。どちらにもそれぞれの良さがある。
・『日下兄妹』著者作品中、最も好き。擬似兄妹。野球部員達との会話の軽妙さがバカバカしくて良く、ナゾの物体だったものが着々とかわいく見えてくるのも良い。ユキテルとヒナ、どこよりも近くになったのに誰よりも遠く、ずっと一緒なのにもう二度と会えない……情緒掻き乱されまくりです。
・『虫と歌』四季賞受賞作。昆虫を作る不思議な「仕事」を軸に、家族の姿が描かれていると思います。その姿があたたかいほど、ラストの苦悩が刺さる。造物主って何考えてんだろな、という空想を巡らせるのもまた一興。
・『ひみつ』描き下ろしショート2ページ。たった2ページにこちらの妄想を掻き起こす要素が詰まっててすごい。
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😊
2024年10月29日
全ての収録作が、日常に、ポッとファンタジーを挿入してくる、不思議に満ちた物語☘。謎と切なさに、驚きを混ぜた様な、心地良い雰囲気漂う、その様な📚。
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この生命観、ちょっと凄い
2024年2月4日
短編集だけど、テーマに一貫性はあって、生命観が独特。読んでもらわないと伝えられない、でもぜひ読んで欲しい、そんな一冊。こういう力のある作者がいるんだなあと感心。
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出会えたことが幸せだと思える物語でした
2023年5月8日
縦に横に大きいコマいっぱいに風が吹く。人あるいは人ならざる生き物は小さく描かれただコマいっぱいに風が吹く。草がそよぐ、波が立つ、長く伸びる影、そして押し寄せるように饒舌に語られる詩的で哲学的で味のある言葉…まるで、ああ、そうだ、大島弓子の世界を彷彿とさせるのだ。大島弓子よりは硬質で無機質で、でも同じように温かい。やさしい物語を紡ぎだす作家だ。
禁断に触れる。
ネタバレ
2023年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 美しい。ただひたすら、美しいのに、気がつくと禁断に触れている。冒頭作、自分の切断した指から生まれた女の子に恋するお話。日本語にするだけで、独特の世界観。何故だか、胸がザワザワする。いけないことを描いているはずなのに、それでもいやらしさがないのは、この作家さんの筆致と、どこか無機質にも思える構図のおかげでしょうか。どのお話も、美しくて悲しくて、そして、ほのかに禁断が香ります。この色香が、この作家さんの最大の持ち味であり、醍醐味と言えると思います。掲載されている短編は、どれも少し悲しくて、どこかにゾクリとするような描写があります。唯一無二の世界観に触れたい方には、ぜひオススメです。
大好きです。
2021年4月22日
独特なものがたり、テンポ。宝石の国にハマって読みました。夢の中にいるような不思議で素敵な世界に浸れます
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素敵な世界観
2020年6月2日
市川先生のセンスは天才です。よくわからないところもあって何度も読み直しましたが、それでもお勧めです。
萩尾望都依頼の際のではないだろうか
2020年4月27日
依頼の際のではないだろうか。シンプルでありながら考え抜かれた構造の美しい、そして複雑で時にセンチメンタルそして間違いなくゴリゴリのSFの物語。これはSF的叙事詩のような漫画だと思う。
えもい
2019年7月30日
市川先生の作品は耽美で切ないお話が多くて好きです。おすすめ。
良質ファンタジー
2017年9月24日
市川春子さんのSFファンタジーが大好きです。独特の世界観とサラッとした絵柄が他にない作品を作り上げていて素敵です。少しわかりにくい話もありますが何度も読み直す価値ありです。「25時のバカンス」もおすすめです。
どのお話も素晴らしい
2017年8月10日
読み応えのある1冊だと思います。市川先生の他作品のファンの方、今まで市川先生の作品を読んだことがなくて購入を検討している方、どんな方でもオススメしたいです。
世界観に引き込まれる
2015年10月17日
独特な世界観のなか繰り広げられる短編集です。意思を持たないものが意思を持ち、ただ懸命に生きています。儚い話ばかりです。表題にもなっている虫の歌は衝撃的なラストです。
新感覚SF
2013年8月2日
市川春子作品はいつも驚きに満ちています。自分の指から作られた少女に恋する少年、隕石のかけらと肩を壊した少年の兄妹、不時着した先で出会った見覚えのない同級生…。独特の世界観に浸ってしまう作品群です。
人を創る。又は虫を操る。生命を吹き込む。
2023年6月19日
私は、無理な世界だった。ただただ特異さに驚嘆!
奇才といったらいいのか、独特の感性で、全くこの世ならざる場、ヒトならざるものを、まるで造物主のように。。。

そして有機体として、時に時間をかけて学習し、時に感情を抱き、そして、私たちと異なる時計で生活している。
バディなのか、独立しているのか、依存しているのか、そこに通わせているのは果たして愛情なのか。
この作品集に登場する人の殆どは、人間の暮らしをしてはいても、私たちのような思考回路を持たない。
と、それが恰も「普通」であるかのように描かれる。
絵も随所でどこかグニャリと空間が変形した感覚で、リアルな風景ではないような抽象画が描かれて、奇妙な世界を肯定。
私には、そのこの世ならざる景色に心休まることが無いのが、読んでいてリラックス出来ず、リアルではないホラーを眺めさせられた感じが抜けなかった。
市川先生の紡ぐ世界、そういう表現が一層命を自在に生殺与奪する根幹を成す。ために、登場するキャラ達の閉じた毎日、彼らのなかでの生活と時間が未来や希望を感じさせることも、喜びや救いも見えず、ただただ一種異様な成り立ちの空間があった。
間違いなく、恐るべき才能を持っておられると感じるものの、身のすくむ想いで読み終えた。全く此処に在ることでは無いことなのに。
希有な才能に敬意を表して星を付けたが、作品世界が全然別次元にあって共感するような類の作品でないので、正直戸惑いの方が大きくて迷った。
泣ける
2018年1月11日
とはいえ、喪失感からホロリ、という泣き方。失ってなお、存在を明確に示す、ありそうでないタイプの作品集です。
唯一無二の世界観
ネタバレ
2018年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の方も仰ってますが、市川先生はとにかく独特の世界設定が素晴らしいです。決してハッピーエンドではなく、しかしバッドエンドでもなく。切なさと儚さが感じられる短編集です。絵柄と構図、会話テンポが独特で好みが分かれると思うので星4です。
不思議な世界観
2017年1月28日
明確にストーリーが繋がっているわけではないけど、宝石の国に至るまでの過程がここにあると思いました。
独特の世界観なのに、こういうものなんだな、と読者に自然と受けいれさせるうまさがあります。

少し解りにくい絵や表現もあったので、1つ減らして星4にしました。
愛が溢れている。
2016年5月3日
不思議な世界観です。理系なのに詩的というか。
引き込まれて読みました。
涙が出ました。どの話も愛(家族愛含む)に溢れていました😊
個性が強い!
2020年9月12日
宝石の国が好きでこちらも読みました。読後に色々なことを考えさせられる短編集です。
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ファンタジー
2020年7月29日
乾いた感じのファンタジーです。なんだか不思議な魅力に引き込まれる感じがあります。
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ふわふわ淡々と進むストーリー
2022年8月24日
は嫌いじゃないはずなんだけども、宝石の国も1巻で断念していて、どうもこの作者さんは合わないようです。
画面が見づらくて目が滑って頭に入ってこなかった。
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作家名: 市川春子
出版社: 講談社
雑誌: アフタヌーン