先生の作品で唸らない作品に出会ったことがありません。
本作品も、読み進めるうちにじゅぶぶと味が滲み込むように私の心に沁みこんで読後も余韻を楽しむことが出来ました。
接点のないような二人の出会いから数か月間を日記のような雰囲気でつらつらと語られていきます。
日付や時間はランダムで時系列にはなっていません。
読みずらいようですが、二人の脳裏にパッ浮かぶ思い出の些細な日常の一場面を切り取って描いたように思え、かえって心の抑揚がチリっと感じます。
時系列で読んでみたいとも思いますが、想像するとやはり二人を近くに感じるには断然こちらの方が良い。
こんな読み物は初めてです。
セリフはいつもながら秀逸でクスリと笑える雰囲気なのに言いえて妙、捉えて離さない魅力的な言い回しです。
あと、先生は女子から見た男子の恋愛の描き方が上手い。
今回、彼女がいます。彼女の視線、思考、発言。
実にジワリとくる。
まさにマザーグースの男の子は何でできているの?
の目線のようです。
脱帽。