コマの間や背景にたくさんの花が咲き乱れている漫画を久しぶりに見た気がします。全体的に絵柄が繊細で優しくてふわふわして、作品タイトルや二人の関係性によく合ってると思いました。
ストーリーは、冴えない主人公を王子様のような人が溺愛してくれるという王道少女漫画に近い感じ。普段は私はそういう作品は苦手なんだけど、これは何だか好きでした。二人のキャラがどちらも良かったし、お互いに相性いいなと感じられました。
まず、大希の外見がとても絶妙で。男らしくてカッコいいイケメンかというとそうではないんだけど、小動物系で可愛い感じ。本人は子どもの頃からコンプレックスだったのが、大人になって視点を変えてみたら……という某童話を彷彿とさせます。性格的にはあまりに自信がなさすぎるけど、意外と前向きな部分もある。アパレルに就職した理由もいいな。そういうところを、楊井もちゃんと見ている。
楊井はいい意味であまり王子様感がなく、カッコいいんだけど程よく普通の男。この人ほんと大希が好みのタイプど真ん中だったんだろなーというのが全身から溢れてる感じなのが良かった(特に描き下ろしなんて)。
そして、楊井が自信のなさすぎる大希にかける言葉がどれも凄く心に響きました。歳上らしい余裕でさらりと語るときも、傷ついた気持ちを真正面からぶつけるときも。
言葉のセンスがとても好きな作家さんです。