恋は雨上がりのように
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恋は雨上がりのように

眉月じゅん

心身にケガをした女子高生が雨やどりする話

ネタバレ
2019年2月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昔単行本で買っていていつの間にか面倒になり放置していましたが、完結したのを見て電子コミックでまとめ買いしました。読了後、なんだろう…年の差恋愛が好きな自分は結構期待していたんです。小説家の夢破れて枯れた中年店長と、陸上の夢破れた女子高生。そんな2人が惹かれあってあの狭いアパートで欲望にまみれた日々を過ごすのも良いなと思ったんです。でも店長は手を出さなかった。17歳という人の人生の中で限りある、最も美しい年齢。そこを汚さなかった。自分の中で忘れていた夢と熱さに溢れた学生時代の気持ちを思い出させてもらった、それだけで満足して、あんなに可愛い女子高生に言い寄られても折れなかった。そんな人だからこそあきらは店長を好きになったのかな。理由は分からないけど雪のシーン、涙が出ました。店長は最後なんて言ったのか。純文学は読んだことないけれどこんな感じなのでしょうか。勧善懲悪のようにハッキリとしていてスッキリとした終わり方じゃなく、読む人それぞれの心に何かを残すような終わり方。巻末にあった登場人物が読者の人生を応援しているとはまさにこのことでしょうか。ファミレスや学校などどこにでもある日常をこれほど面白く描ける作者は凄いと思いました。次回作も楽しみにしています。
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