心中するまで、待っててね。
」のレビュー

心中するまで、待っててね。

市梨きみ

バッドエンド苦手な人が読むんじゃなかった

ネタバレ
2020年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ほんとに号泣するお話でした。タイトル見てもっと警戒心持って読めば良かったなぁ…。
上巻は可愛くてえろいけど所々不穏で、でもきらきらしてるしいい方向に行くだろうと、都合の悪いところから目を背けていました。上巻でやめておけば良かった…でもそれだと何で?どうして?が残ると思って軽い気持ちで下巻を購入したら結果的にだめでした。
バッドエンドもメリーバッドエンドも苦手です。どうかそうならないで、と思った方に全部向かっていったからもうこのやるせない気持ちどうしたらいいんだろうってなりました。
最初から全部伏線だったんですね。葵にいちゃんが押入れ好きなのも、「足の悪い」おじいさんが二階に住んでるのも、大家さんのドラム缶でゴミを燃やしてたことがあるという話も。あの話をしていた時の大家さん、葵にいちゃんの存在に気づいてないと思ったら幽霊だから見えなかったんですね。にしてもそのドラム缶の底に何があったのかが気になりすぎて怖いです。
福太が忘れていたのはトラウマとかからだろうなとは思っていましたが、痩せた理由もそれだったのかと思うと切なくて…。
下巻で葵にいちゃんがおじさんにやられている時、足に刃物が刺さっているコマがありましたがあれは葵にいちゃんじゃなくておじさんの足…?それで右足悪くしてびっこひいて歩いてたって解釈でいいのかな。
このお話を読んで心の底から思ったこと。この世界から誘拐やレ/イ/プなどの悲惨な事件がなくなりますように。そう願わずにはいられないです。福太のように自らの手で制裁するのが最善とも思えなくて、福太は良かったかもしれないけど福井のお母さんはもちろん、バイト先のご夫婦のことを考えたら何も良くない。何も良くないです。広い世界に2人だけで生きて死んでいくなんて、福太はやっちゃいけなかったんだ……。
賛否両論あって当然のお話だと思います。私はもう二度と読み直したくないと思うほどに病みました。でもそれは、それだけこのお話が完成されていてとても素敵だったからだと思います。(ドラマなどで悪役の俳優さんを嫌いになるのと同じ感覚。それだけ悪役がハマっててお芝居が上手い俳優さんでなければ嫌いになんてなれないという意味です)
市梨先生大好きです。「さよならα」を読み直してお口直ししてきます…
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