心中するまで、待っててね。
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心中するまで、待っててね。

市梨きみ

賛否分かれる作品

2020年6月6日
BLに限らず、ストーリーが面白いか否かを重視して読むタイプの人からするとまぁまぁ面白い作品でした。

ただ、『BL作品』とラベリングすると違和感があります。この作品は『サイコホラー』とか『サスペンススリラー』と区分された方がしっくりくる気がします。
正直言ってこの作品、主軸となるストーリーに「男性同士の恋愛」の必然性は感じません。
べつに男女であろうと女同士であろうと、成立するストーリーです。

なので、『BL』として気楽に読める面白さを求めていた層からすると裏切られた気持ちになりそうですし、『BL』というラベリングを信じて購入した結果、自衛できずに地雷を踏み抜いた人が実際に『一番嫌いなタイプの漫画だった』『重すぎる』『読まなきゃ良かった』などと言っているのも聞きました。

前情報が『BL』だけで読むことにより、ハマる層からは支持されますが、駄目な人からはホントに嫌がられてしまう、読者の賛否が分かれてしまう作品になったのかなと感じました。

この作家さんの別作品もいくつか読んだことが有りますが、なんとなく、この作家さんはキャラクターの幸せとか読後の爽やかさより、ストーリーの面白さを重視したい派なのかな?と感じます。
わかりやすいハッピーエンド、すっきりとした気持ちで終わりたい、読後引きずりたくないタイプの人にはおすすめできないかなと。

わたしは嫌いではなかったですが、なんとなく文学作品の劣化版のような、二番煎じを寄せ集めたような、既視感のある作品だなと感じました。
まぁまぁ面白かったですが、あまり斬新さはなく、感動もなく、ただほんの少し、どんよりと胃が重くなる感じでした。
感覚は桜庭一樹さんの『私の男』を読んだ時に似てます。
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