ビター×スイート
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ビター×スイート

遙々アルク

苦くて甘くて

ネタバレ
2020年12月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 極力他人と会話したくないコミュ障のツッキーが、行きつけのコーヒー屋で出会ったイケメン村山くんに一目惚れされるところから始まるお話がメインの短編集です。コーヒー屋の甘くて苦いメニューそれぞれが各章のタイトルになっています。村山くんからの甘い甘い愛を得て、強い人になろうと自らの人生を切り開いてゆくツッキーが可愛くて一生懸命で惚れ惚れします。第一話〜第十二話の後の第零話が衝撃です。ビターもスイートも感知できない村山くんの味覚障害の原因が明かされ、この作品のより深いテーマを暗示します。巻末の特別編も良きでした。
立場の違いすぎる憧れの王子様に精一杯の虚勢を張る受けが可愛い過ぎる『雑巾姫』、本来絶対に関わらないはずだった超エリート社員と派遣社員との関わりを描いた『君は間違っている』、『cleaning〜世界で一番小さいクリーニング屋の話』については、読後感が自分史上最高に切ない作品でした。
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