化け猫かたって候
」のレビュー

化け猫かたって候

早寝電灯

化け猫の物語に救われた雀のお話。

ネタバレ
2020年12月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さん買い。表紙では見えませんが、化け猫なので時々ケモミミですよ〜。でも化け猫なのでちょっとだけ怖い&かわいいですよ〜。今まで読んだ作者さんのお話全部好きだけど、この作品も切なくてすっごく好き。星7つ。
講談師(化け猫)×ブラック企業勤務リーマン(過労死寸前)。
18連勤明け感情も失い死にかけでふらふらとたどり着いた寄席で惹き込まれるように聴いた講談師の化け猫の話。リーマンくんには何故か講談師も化け猫に見えてしまって、倒れて担ぎ込まれた彼の家で、正体の秘密を守るために伴侶になってくれと頼まれる。過労死寸前だった身体を休めながら、ふたりで丁寧に毎日を送り、化け猫の世界へも旅をするうちに、失ってた感情が化け猫の彼に向かうのを感じる。でも、長い時間を生きていて、リーマンくんを雀と呼んで慈しむ化け猫くんは、化け猫と人では生きる時の速さが違っていつかは置いていかれることを知っているから、ほんとうに心を預ける前に手放してしまったほうがいいと思ってしまう。
化け猫くんの過去話も切ない。。飼い猫だった昔、物語を聞いて育って、死にかけの子どもたちを何人も膝の上に座って見送って、いつか自分の語る物語を聞いて生き返ってくれるようなひとと出会いたいと願う。化け猫くんが雀を好きで好きで可愛がって大事にしてる様子がほんと好き。
この作者さんの作品、3作読んでどれもすっごく良いのに、レビューが少ないのは何故? エチエロがほぼないから? 絵も綺麗で読みやすく、毎回作品世界へ引き込まれます。たくさんの人に読んでもらいたい。全力でマジでオススメします。
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