片道映画一本分
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片道映画一本分

日乃チハヤ

「メガネくん」と「アイツ」

ネタバレ
2021年3月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 実際、同じ館内にこんなうるさい人がいたら、ものすっごくイラっとすると思うんです。マーベルとかを、会場全体で笑ったり、驚いたりしながら見るっていう例外を除いて。メガネくんが好むミニシアター系の映画館ならなおさら。メガネくんにとったら、アイツは邪魔なだけだったのに、片道映画1本分の時間をかけて会いに行くとか、説明のつかない気持ちと行動の矛盾に胸がくすぐったい。メガネくんは、その電車に揺られる時間、何を考えているのかなーと思ったり、アイツは、メガネくんのことばかり考えているのに、名前も知らないことに気付いてもないんかいと思ったり、二人の心境を想像したり、噛み合わないズレにハラハラするのが、楽しい。自覚のない恋心への進展の仕方がしっくりくるお話でした。本人たちは無自覚なのに、周りはウスウス気付いてるっていう、"みんなのレビュー"も良かったな。余韻を残して終わる作品は結構好きですが、この2人の続きは気になります。続きがあったとして、スマホの登録名の「メガネくん」と「アイツ」はきっと変えないままなんだろうなー。
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