サイケデリック・ベイビー
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サイケデリック・ベイビー

湯煎温子

愛のために芸術が

ネタバレ
2021年5月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少し前のセールにて。湯煎先生の作品続けて読んでます。内容は見方によってはシビアなことがあっても愛があるのでペンネームのようにどれも温かいんですよね。私、先生の作品好きなんだなーってしみじみ思いました。
当作品は、気鋭の若い芸術家が、芸術家の作品のファンの雑誌担当編集者に自分の未知な領域、身体の関係を持ちかけ、経験がなく覚束ないなかキスをして身体を重ねていくうちに愛を知ってしまって作風が変わり、愛のために芸術が死んでいく物語。愛のために芸術家は変わった自分を厭わず、編集者も芸術家を支えていくために転職をして共に引っ越します。普通の気楽なハッピーBLだったら、新しい作風が世間に認められて更に人気となり、、となりそうなのが、そうならない所がすごく好き。破滅型のお話に思えますが、そんなことはなくて明るく温かな筆致で描かれてますよ。ほんとは芸術が死んでいくのではないんですよね。今までの自分を脱ぎ捨てて新しい自分になるだけ。それを世間が認めようが認めまいが、ふたりには関係ないんです。編集者くんはデキる奴で自分の作品の一番のファンで大切な恋人だから。
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