神様なんか信じない僕らのエデン
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神様なんか信じない僕らのエデン

一ノ瀬ゆま

映画でもなく、ドラマでもなく、舞台

2021年6月12日
オメガバースの始まりを描いた作品です。全国模試1位の秀才×繊細なリア充イケメンが主人公カップル。圧倒的なアイデアとそれを読者に全力で投げつけてくるような画力で、時折息をするのを忘れるほどに没頭しました。素晴らしい漫画作品は、映画やドラマみたいな映像を観ているようだなぁと思うことが多いんですが、これはなんというか、舞台作品を見ている気分にさせられました。主人公たちだけでなく、1コマしか出ないような登場人物たちにもちゃんと血が通っているんですよね。キャラクターではなく人間。息遣いを感じます。そして、オメガバースというBLの中では思いきりファンタジーで、かつ女性性を強く感じさせるテーマを扱っているのに、この作品の中では高校生の男の子たちが「普通の男の子」としての感覚でいるんです。それがとてもリアルで、彼らの悩みや苦しみ、喜びが手に取るようにわかります。オメガとアルファだから始まった関係だけど、本当の恋愛として何度もすれ違いながら成就していくところは、読みながら涙してしまいました。もう主人公たちが愛しくて愛しくて胸がいっぱいになります。それはひとえに作者の力量のなせる技です。この作品を知らずにいるのは本当にもったいないと感じます。星の数や下手くそな私のレビューでは評価し尽くせません。どうか一度読んで、この愛しさで胸がいっぱいになる気持ちを味わってほしいです。
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