それでも、やさしい恋をする
」のレビュー

それでも、やさしい恋をする

ヨネダコウ

スピン元が好きすぎて読めなかったけど…

ネタバレ
2021年7月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「どうしても触れたくない」が好きすぎて、スピンオフのこちら、ずーっと読めなかったんです。外川さんと嶋くんだけでなく、2人に対して(周りの人に対して)フラットで優しくて、最後はちょっと嶋くんにときめいちゃってる小野田さんも好きで、そんな自分の中の小野田さんを大事にしたくて、手を出せなかったのです(ヨネダコウ先生の作品で読んでいないのはこれだけだとさっき気付きました!我ながら、温めすぎ!)。今回のレーベルクーポンで、腹をくくって読みました(大袈裟)。はぁ~、良かった…。とても良かった…。私が大事にしていた小野田さんは、小野田さんのままでした。
ゲイであることをカムアウトしない主義の出口さん(嶋くんの元同会社の営業)は、昼間っから仕事サボって1回限りのセ ックスを楽しんでいるような爛れた人(本人曰く)。共通の友人を介して小野田さんと出会った出口さんは、ノンケなんか好きにならないと思いながら、小野田さんの柔らかいやさしさに惹かれていきます。よくある展開なのに、この切なさとときめきはどこからくるのでしょう。
小野田さんへの「好き」の気持ちを自覚しながら、3年間(長!)「友達」として接してきた出口さんの笑顔や軽口にかぶせるように、嶋くんへの微妙な心境を語る小野田さん。小野田さんは出口さんと「友達」であることを微塵も疑っていないんです。出口さん、そんなことを聞かされてなんで平気なの?と思ったら、ちっとも平気じゃなかった…。私の心も震えます。
それなりにモテて彼女もいた小野田さんと昼夜問わず遊んでいた出口さんの不器用でままならない恋心がたまりません。嫉妬したり不安になったり、些細ことがとても嬉しかったり、”人を好きになったとき、ほんとこんな感じだったなあ”っていちいち腑に落ちてしまいます。付き合う前の2人のやり取りも、付き合ってからの2人の関係の深まりも、本当に好き。付き合うことがゴールではないのだと気付かされます。「好きあって付き合うってことは相手を一番大事に思うこと」が年甲斐もなく染みました。そう思っていながら、「大事にできるかわからない…それでも」と言う小野田さんとその先の言葉を請い求める出口さんに、私の胸も幸せに満ちながら少し苦しくなります。そして2人のハジメテの夜のお風呂でトドメを刺されました。
はっ!気付けば長文…。最後に、嶋くんと外川さんも登場して嬉しかったです!
いいねしたユーザ29人
レビューをシェアしよう!