触らないで、抱きしめて
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触らないで、抱きしめて

この手があなたに触れるとき

ネタバレ
2021年7月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊で初めての作家さん。タイトルと表紙絵に惹かれて購入しましたがとっても良かった!
常に手袋をして潔癖症と噂される鷲園。ゼミの飲み会で泥酔してしまった所を、同じゼミの梅谷が家へ連れ帰って世話をする所から始まります。

重めのお話かと思いきや、2人のキャラも掛け合いも本当に面白くてシリアスとコミカルのバランスがとても良い塩梅。
鷲園の可愛いギャップにもやられるし、鷲園に惹かれ症状を理解しようと向き合い決して無理をせず、させない梅谷が何気にスパダリ気質でキュンとさせられます。こんなに自分を守ろうと、受け止めようとしてくれる人が側にいてくれたらどんなに心強いだろうって思います。梅宮の存在が鷲園の中でどんどん膨らんでいく過程もとても共感できます。

触れたい、触れられたい、でも怖い。
そんなままならない葛藤を抱えて、少しずつ触れ合う様子に、どこまでは大丈夫なんだろうかと私も心配しながら読みました。手袋の中に指が滑り込むシーンとか艶っぽくて。
鷲園が家族と向き合い自分の気持ちを余すことなくぶつける事ができたのも本当に良かった。理由があったとしても心の傷が無くなるわけではないけれど、母の背景を知る事ができたのは、鷲園にとって前進する後押しになったのではないかと思います。

きっと一生忘れる事のない初めてのキス。
初めて身体を繋げた夜。
エチの後の鷲園の心の底から振り絞るように零れた一言に、翌朝のシーンに、胸を掴まれます。
本当に、本当に良かったね。
たくさん抱き合って、たくさんキスをして、溺れるくらいに幸せな2人でいてね。
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