叫んでやるぜ!
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叫んでやるぜ!

高口里純

「本番いきます」「え!?いきなり本番!?」

ネタバレ
2021年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ (2021/07/31まで読み放題)
時代はちょうど第3次声優ブームでTVゲームやBLのドラマCDがガンガン製作され始めていた頃。ある日、声優の久江信乃の元を、離婚した妻が女手ひとつで育てた高校生の息子・南夏也(なかや)が訪れるところから物語は始まります。
2人分の生活費のため、そして声優としての幅を広げるためBLドラマ界に乗り出した信乃は、天性の「受け声」で一躍人気者に。その一方でBLドラマを地で行くように同業・同性の小泉天竜や水沢輝志(てるし)に迫られ、一瞬も気が抜けず…?
お話の導入部は、セオリー通り主要キャラ達の人となりを紹介するエピソードでスロースタート。今どきのスピーディな(ちょっぴりお手軽尻軽な)BLを求めている方には少々じれったい始まりかも。ですが、恋愛に発展していく布石はしっかり打たれていき、展開にワクワクしながら気づけば一気読みしていた、となること請け合いです。
作者の高口先生が激愛する声優の大塚明夫さんにアテ書きした(と噂の)小泉天竜×久江信乃の声優CPおよび信乃の息子・南夏也×布施映日(あきひ)のアイスホッケーCPを中心に、男同士で惹かれあい愛しあう葛藤と陶酔が描かれます。
とにかく天竜という男、いい男すぎて、しんどい!余裕の構えで信乃を口説いていたはずのその天竜が、涙もろく天然で男殺しの信乃におちていく過程はいっそ官能的です。
紙版の初出は1996年。「BLドラマ声優たちが実際に恋愛していたら? 」というファンたちの妄想を具現化した先駆的作品です(ドラマCDは口説き文句や喘ぎ声のたびに腰が砕けました…)。
フォローしている方のレビュー発見!(嬉) 先生が絵で作る雰囲気は本当にエロいですよね。
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