かみさまの虫籠【分冊版】
」のレビュー

かみさまの虫籠【分冊版】

笑平

切ない、やるせない

ネタバレ
2021年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分が何を感じ取っのか、言葉が見つけられず何度も繰り返し読みました。主人公の男の子は妹が養護学校に通っている。周りの助けを借りて生きて行く妹の立場を知っている。他人が傷付けるなんて容易な存在。猫のキーホルダーの様にただのおふざけで安易に傷付けられる。自分がイジメられても、そんな自分よりも守りたいと思える大切な存在が居る。妹のことをからかわれるのは、自分の事を言われるより辛くて悔しいと思う。だから、自分がされたことを他の誰かにとはとても思えないと思う。でも、そんな存在もなく、理不尽にイジメに合ったらどうだろう…。人は孤独や弱い立場に置かれると、本能的に自分を守ろうとしてしまう。だから自分より弱い人間を見つけてそこに自分の安心を作ろうとしてしまったりして…。彼らの様な10代のまだ繭から出てきて羽も乾ききらない年頃ならどれだけ傷が深かっただろう…。私は2人の男の子の両方とも自分を重ねてしまいました。この2人が出会えた事、それによって主人公の彼が世の中の核心に近い事に気付けた事に安堵し、そして引っ越してしまった彼の心の傷が癒え、自分の罪を償い切る日が来てほしいと願ってしまいました。彼のしたことは許されないとしても、私は彼を糾弾できませんでした。
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