羅城恋月夜
」のレビュー

羅城恋月夜

朔ヒロ

切なくて、愛しくて、美しい物語

ネタバレ
2021年7月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作『明烏夢恋唄』が素晴らしくて、大好きな作品で、そのスピンオフが読めてすごく嬉しい。読後の興奮が冷めやらぬままレビュー書いてます。もう、これは推しです!前作と甲乙つけがたいほどに、魅了されました。ぐんぐん話に引き込まれて、心が完全に虜です。『明烏夢恋唄』を読まなくても単独で大丈夫ですが、この世界観に触れるなら、前作も読んで欲しいなと思います。

舞台は同じ妖怪専門の遊郭『かすみ楼』。幽世と現世の間で芽生えた深い繋がりの恋が、とても繊細に描かれています。
四本の角を持つ美しい鬼・茨木と異形、異界に夢中な現代の陰陽師・紺。敵対関係にあるもの同士、深い因縁を絡ませながら、それでもなお惹かれ合う二人が切ないんです。
かつて平安京を荒らした酒呑童子と腹心の部下・茨木童子の絆や、源氏との戦いで喪われた茨木の右腕の真実が、見事に練り上げられて物語を掘り下げられています。それによって因縁ある二人の恋が、なおさら切なくて涙。
交わる事のないはずの鬼と陰陽師。
非情であるイメージの鬼の哀しみとか、苦しみとか、涙がたまらなく心に響いて、ぎゅっと胸が苦しい。そうかと思えば紺を慈しむ表情は、ホントに鬼かと思うくらい優しい。なんて魅力ある鬼でしょう。
紺は陰陽師の子孫として生まれながら、異形のものを消し去る事よりも、護るために生まれて来たんだね。茨木に心を奪われた事も、とても自然で素敵です。求め合って、愛し合った二人が幸せそうで良かったです。最後まで紺を大切に思う茨木の愛に涙です。ラストの1ページで涙腺崩壊しました。

書き下ろしのいちゃラブも良かったし、なんと言っても『明烏夢恋唄』の翠蓮に会えて嬉しかったぁ。
シリーズ続編決定も嬉しいニュースです。待ち遠しいなぁ。
1作品につきいいね数ダントツのフォロー様、またまた頭の下がるレビューありがとうございます。
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