リバース
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リバース

麻生ミツ晃

どんな形であれ無償の愛で守り守られる2人

2021年7月29日
やっと読みました。読了後の余韻が全然抜けない。心の震えが止みません。感無量。読んだ後暫く何日間かこの作品の事で頭がいっぱいでした。そういえば夢にも出てきました。圧倒的な世界観、さすがミツ晃先生ですとしか言いようが無いですね。一番気持ちを込められる形にするまでに3年もかかったと、BL AWARD BEST DEEP1位を獲られた際にミツ晃先生がそうコメントされてて、嗚呼なるほど、これ程まで圧巻の超大作になるわけだとただただ感銘を受けます。
オメガバースという設定だけでもう複雑なのに、オメガバジャンルで唯一無二の更に入り組んだストーリーを、複雑な構成で、しかも最高に面白く描かれてます。過去、現在、そして円の心の内側の3次元を、時系列を乱さずに同時進行で交互に描写しているのもさすがだなあと思いました。物語の全体的な緊迫感も物凄いので、ミステリー・サスペンスとしても読み応え抜群です。1話目の最後、びっくりし過ぎて思わず口を押さえました。そして最後には全ての伏線が綺麗に回収されます。ラストシーンにかけての緊張感は半端ないですね。最後の流れ、意外とあっさりしてるかもとは思いましたが、ずっと続いていた緊張が解けて、円と幸村が自分自身の重圧から本当の意味で解放されるシーンには、涙が出ました。タイトルの意味を噛み締めましたねえ。
ワンシーンワンシーン、本当に丁寧に描かれていて、それに伴う心理描写1つ1つも深く心に刺さります。幸村の円を無条件にただ真っ直ぐ想いそばで守りたいという想い、そして円の本当の自分を偽り続けて犠牲にしてでも一生幸村が傷付く事から守りたいという想い。2人の無償の愛に心から感動しました。
近々、ミツ晃先生の新刊も発売されるみたいなので、本当に楽しみです。
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