先生さよなら、また明日
」のレビュー

先生さよなら、また明日

みつこ

貫いた切なさ溢れる純愛

ネタバレ
2021年7月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「卑怯者だと笑ってくれ」の繊細な心理描写が好きだった作家さん。
新刊も年の差のある恋の切なさやもどかしさが丁寧に綴られた作品で、とっても好きなお話でした。
大学生の津田が教育実習先で出会った自分好みの美しい少年、成田。
大人を信用せず教師陣も手を焼く成田にちょっかいを掛けその反応を楽しんでいた津田に、成田が好意を寄せるようになり・・と展開します。

前半は津田と成田の攻防が面白くてテンポ良く軽快に進み、成田がどんどん津田に懐いていく様子がとても可愛い!絵に描いたようにするすると恋に落ちた成田だけど、まだまだ子供で寂しさを抱える成田にとってはきっと十分すぎるきっかけで、彼なりにしっかりと津田を見て心に生まれた、精一杯の背伸びの恋なんだと思います。
その純粋な想いに触れ最初とは別人のように変わっていく津田が見せる大学生の大人としての辛い葛藤がすごく伝わってきました。

7年の月日が経ち再会するも、幼い成田が自分ではどうする事も出来ない年の差を前に苦しくもがいた足跡を、今度は自分が辿っているかのような切ない津田のモノローグがたまらなかったー。細やかな心情の描写がやっぱりお上手な作家さんだなと思いました。ゲイバーママさんのごもっともな言葉もとても素敵!エチはガッツリではないけど最後と成田目線の可愛い描き下ろしにありました。ちなみに成人済です。
どれだけ月日が経っても、どれだけ背丈が変わっても、ずっとずっと変わらず胸に在り続けた大切なもの。
2人の純愛に胸がいっぱいの幸せな読後感でした!
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