only you,only
」のレビュー

only you,only

麻生ミツ晃

もっと簡単な事なのに…

2021年8月12日
他の方のレビューで、ミツ晃先生は木原音瀬先生のように「痛みの伝道師」的な位置付けをされる作家さんだ、というコメントを見て、ああ確かになと納得しました。別に、自分がその物語の主人公と同じ体験・経験をしているわけではないのに、まるで自分の事のようにその辛さを痛切に感じてしまいます。木原先生の『箱の中』や『灰の月』、COLDシリーズなんかは特に痛み無しでは読めない作品ですよね。木原先生の書かれるものは本当に大好きですが、容易に読み返せないです。
この作品でも、真木さんと須藤の苦悩や葛藤が痛いほど切実に描写されていて、読んでいて気分を落とさずにはいられませんでした(ポジティブな意味で)。2人の結末に辿り着くまで逆境や障害がたくさんあって、2人それぞれ抱える迷いや精神的苦汁もありましたが(僕は正直2人にイライラしました)、お互い心から想い合っているという事を再び最優先してくれて良かったです。(全てのLGBTQIA2S+の人達が同じ体験をするわけじゃないので、あくまで)彼等の場合、社会的"常識"や立場上、一筋縄では解決しないというのもわかりますが、一度しかない自分の為の人生、もっと簡単にシンプルに感じようよ…と僕は言ってあげたかったです。
ミツ晃先生の新刊、明日電子配信開始ですね。わくわくです。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!