このレビューはネタバレを含みます▼
作者さん買いです。フォローさんが仰る通り、BLじゃない他のところに重きを置いた作品だと思いました。…というか、生越と自分が重なってちょっと苦しくなりました。生越タイプの自分としては、霊山さんみたいな人はすごく無敵で怖い存在でした。本作では作家という立場のお話ですが、これ文学に限らず芸術に携わる人には普遍的な問いかけですね。そもそも芸術とは何だ、芸術に対する欲求とは何なのか、グルグル考えてしまいました。何か表現したいものが己の中で渦巻いているけれど、表現する手段を見つけられない者。表現したいものが絶えず浮かんで息をするように自然に表現できる者。表現したい気持ちがあるのに、自分でその形すら掴めない者。表現したいけれど、批判が怖くて踏み出せない者。そもそもそんな欲から無縁で自由に芸術を享受できる者。他者から見たら、葛藤のループで苦しんでいる事が不幸に見えても、そのループから切り離される事はもはや死んだも同然だったりしますから、生越が結局ずっと同じループを巡るとしても、それが生越という人の生き方だと理解し、救おうとも助けようともしないでただ側に居てくれて、一緒に創作の話も出来て、その人だけでも自分の作品を好きだと言ってくれたらどんなにか幸せだろうと思います。もしそんな人が側に居てくれたら、私も死ぬ気で創作して、死ぬ気で全てを捧げたいな。ちょっと読んでて辛かったけど、お尻が和ませてくれて良かった。でもキランが健気だから2人の今後を思うと切ないです。