未熟な僕らは夏に為る 【短編】
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未熟な僕らは夏に為る 【短編】

hitomi

こんな田舎に行ってみたい

ネタバレ
2021年8月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様です。フォロー様のレビューを見て、田舎の風景に浸ってみたくなりました。ありがとうございます。
確かに皆さまがおっしゃるように、画力がとても素晴らしい。人物画も綺麗だけど、惹かれて見惚れるのは、田舎の優しい風景です。音も匂いも触感もカラーもない絵から、蝉がジージー鳴いてそうな、い草の薫る畳の香りとか、川の水の冷たさだとか、夏の日射しの暑さだとか、想像と知ってる記憶で全部イメージ出来そうな表現力です。サイダー味の二つに割れる棒付きのアイスキャンディーが食べたくなりました。私には田舎がないものですから、こうゆう穏やかな時間が流れる田舎暮らしに憧れます。

お互いに都会を離れた二人。派手な遊びも刺激もない中でも、二人が自然と距離が縮まるのも、自然な流れなんだと思います。そんな中でのすれ違い。言葉って簡単なようで難しい。受け取り方で、違ったニュアンスで受け止める事もあるだろうし、そんなつもりで言ったつもりじゃないのに…という事もありますよね。言葉足らずという事もあるかもしれません。向き合う事から逃げてしまった大也が、勇気を持って掛けた電話。祈るような気持ちだったかもしれないですねぇ。ドキドキしました。
最後の結びも素敵で、読後感は爽やかでした。短編ながら清々しくて、とても良かったです。

『1人と一人の3650日』という作品に、こちらの作品が収録されていると、フォロアー様情報です。ありがとうございます。短編にするか、単行本にするか迷いましたが、ちょっと切ない感じがしたので、とりあえず短編のみにしました。重複にご注意くださいませ。
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