無力な人々
」のレビュー

無力な人々

西田東

「無」

2021年8月26日
「無力」「無理」「無意味」…タイトルだけでなく目につく「無」。
絶望している人々は「無」に引き寄せられるのだろうか。「無」だから絶望するのだろうか。
自分を「無力」だと思うとき、「無力」な自分が許せなかったり、「無力」であることを悔やんだり、「無力」を嘆いたりする。なぜだろう。なぜ「無力」をありのまま受け入れられないのだろう。「無力」を意識してしまうのは(意識すること自体は無意識だとしても)、わずかながらも希望があるからかもしれない。淡い期待があるからかもしれない。だから、苦しいのかもしれない。彼らの姿から、「無力」だと思いながらも、「無(何もない)」ではないのだと分かる。確かにそこに存在するものがある。と、そんなことを考えていました。最後の一コマに緊張が緩んで、ホッ。(短編:8/30までセール)
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