屍と花嫁
」のレビュー

屍と花嫁

赤河左岸

この世界観が好き

ネタバレ
2021年9月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作の「果ての荒野でバカンスを」が好き過ぎて、今だに思い返すだけで泣けてきてしまうほどハマった赤河先生の新刊。期待値も上がっていましたが読んだ感想は、やっぱり好きだー!面白くて満足です。
最初は状況がわからず、これは一体と思っているうちに引き込まれ、ハラハラと真相を追ううちに、すっかり兄弟に感情移入していました。ん?という不穏さからの流れるようなストーリー展開が見事です。真相がわかった時のやるせなさと小さな幸福感。弟の澄ました顔の奥に隠した深い思いがもうたまらなかったです。
物語は一見静かで淡々としているんです。でも根底に溶けてドロドロになった溶岩が流れているような、そんな熱さを感じました。唯一無二のお互いしかいない2人の兄弟が、最後には厳かなものに見えてきました。完全に正しいとは言えないけれど、2人は幸福だと思えるラストが良かった。赤河先生が作る、穏やかでちょっと哀しくて熱い、他とはちょっと違う手触りの世界観がやっぱり好きでした。
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