トリップ
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トリップ

高井戸あけみ

TRIPには、つまずきや過ちという意味も…

2021年9月16日
「××が★★を好きになった理由がわかりません」というコメントをレビューで見かけることがあり、それってどういう意味?と時々立ち止まってはレビューを読んでしまいます。
多くは「★★はクズで愚かでetc.好かれるところなんて何もないから自分だったら好きにならない」という感情に起因している模様。なるほどなぁ。
或いは「好きになったことがわかる場面が見当たらないから伝わりやすく描いて」というリクエストパターンも散見。なるほどなぁ(2回目)。
1998年初版のこの作品は7話からなる短編集で、1つを除き表題作の連作(つまりテーマが同じ)。紙版を手放しているので50%OFFの今回買い直して読みました。
当時は気づいていなかったことが沢山あったなぁ。人を好きになるのには本当に一瞬で足りるんだってこと。好きになる理由なんて意識もしないうちに好きになっているんだってこと。年下をたぶらかす大人の狙いすました手練手管にはひとたまりもないんだってこと。そんなズルい男をそれでも嫌いになれないのがリアルなんだってこと。
それから、好き合っている同士であっても互いの“好き”に違いはあるということ------これが共通のテーマ、かな。
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