さよなら共犯者【単行本版】
」のレビュー

さよなら共犯者【単行本版】

あがた愛

それぞれの…

ネタバレ
2021年9月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読後の余韻が素晴らしく良い!あ〜作品の空気感にずっと浸っていたいです。。作風がミステリー調だったり、少しハラハラさせる物語の展開だったり、作品のドラマチックな世界観に一気に引き込まれて、あっという間に読み終わってしまいました。
ふたりの"共犯者"としての関係性がとても切なかったです。もう後戻り出来なくなっている、抑えることが出来なくなっている彼らの互いへの強い想いが、リスクを負ってまで"間違い"を正そうとしている彼らの正義感とまるで相反する様で、ああ、恋情ってやっぱりこういうものだよなあ、コントロール出来ないからこそそれが好きだという激しく熱い感情なんだよなあと改めて感じました。そしてそれら2つの対立する思いが暗喩的に矛盾として描写されている様なところもとても好きです。そう考えたら、ふたりは2つの意味で"共犯者"なのかなあ。誰にもバレないように正義を貫こうとするふたりと、誰にもバレないように互いの愛のために逃避行するふたりと。タイトルも素敵ですよねえ。
終盤に掛けてストーリーの盛り上がりに物足りなさを感じるかなあとも思いましたが、作品の雰囲気がすごく心に染みたので、僕は好きな作品でした。それぞれの正義、それを貫き通す難しさを、深く考えされられる作品でもありました。
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