発熱バスルーム
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発熱バスルーム

ARUKU

”不可侵な愛”に為す術なし

ネタバレ
2021年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私の中で、ARUKU先生が心揺さぶられる作者さんのお一人となりました。
レビューは2作目ですが、以前の名義も含めて読了は7作目です。その中でも、『嫌い、大嫌い、愛してる。』と本作は、本当にしんどい…。評価が分かれているのも頷けます。自分の嗜好や思考からしても、なぜ受け入れられるのか、不思議に思うくらいです。不思議を紐解いてみると、作者さんの確固たる世界観の前では、私の嗜好や思考は真っ白になり、その上から作者さんの色を浴びることが、まるで、生まれて初めて目にする世界のように、驚きと感動を与えてくれるからかなと思います。「ARUKU先生の世界への扉を開けたら、まず真っ白になる」が、読む時の支度になりました。(これは、どの作者さんにもできるかというとそうではなくて…ARUKUマジックですね)
以前、先生の他作品をレビューされていたフォロー様が書かれていましたが、ポンと置かれるキャラの心情や(先生の作品はモノローグも多いので、ここも好みが分かれています)セリフに心揺さぶられます。そして、思いもしない流れに、時に衝撃を受け、時に驚愕します。今回に関して言えば、”金魚”と”イカの塩辛”です。これは、2つの意味で心が震えました。金魚鉢とバスタブ、2匹の金魚。イカの塩辛に見る虚構と現実感の狭間。他のフォロー様も仰っていましたが、フィクションとリアリティが本当に絶妙で、脳内がとても不思議な感覚に浸されていきます。作者様の脳内、どうなっているんだ…と思ってしまいます。
本来ならば、先日レビューをされていたフォロー様同様、受け入れ難い(受け入れたくない)描写が続くのに、様々に引っ掛かりや問いたいことはあるのに、そこにある「不可侵な愛」の前には、為す術もありません…。
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