このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家様。絵が好みでした。淡々とした作風、現実に「いそう」な落ち着いた人物設定も好み。
美形の男の人がそれなりに要因があってヒモ体質になって、クローゼットにお金を渡されて側にいる、というのはBLだとわりと良くある設定。
そして、今まで転々としてたヒモが主人公には何故か執着して、二人で幸せになる、というのが帰結。
何故かって部分は、様々要因があって、極論言えば、好きになるのに理由はいらないのと一緒で理由はない。強いて言えば、今作の主人公は、常にお金を渡して側にいてもらっている、対価を支払うことを重視していた。そういうある意味で真面目な性格はポイント高い。借金なんてしないタイプなのだ。
さて、命題「札束で愛は買えるか。」どうなんでしょうか。きっかけはそうにしろ、最終的にはお金無しでハッピーエンドというのがお決まりです。つまり人はそういう話を求めてる。お金が介在すると虚しさが発生するのは何故か。資本主義のせいなのか。個人的に「札束で愛は買えるか。」っていうのは考えるのが好きな命題です。単純にNOとするにはつまらないほど、お金には魔力がある。お金のために命を懸ける人もいるわけですから、愛だって買えそう。というか愛って何なんだろう。
淡々とした作風でしたが、それ故に色々と考えることができて面白いお話でした。多くは明かされないけど、主人公の受けの生い立ちも興味深い。攻めは肉親から呪いをかけられている。その呪いを解いたのはきっと愛。