エンドスタートライン
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エンドスタートライン

上田アキ

廃校となったある校舎を舞台にした3編+α

ネタバレ
2021年10月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『エンドスタートライン』通っている高校が廃校となった3年生の主人公は新しい校舎に馴染めず、日の暮れた廃校舎のグラウンドで一人走っています。誰もいない筈の校舎からの視線を感じた主人公は、自分は幽霊だと言う金髪で煙草をふかす生徒と出会います。教室や落書き、色んな物が置き去りにされた抜け殻のような空間で、日々主人公は走り、幽霊はそれを見つめています。そしてある日、幽霊は今までの全てをここに捨てていくと言い、姿を消すのでした。純愛です。
『建築する夕暮れ』写真好きの生徒•吉沢は、夕陽に照らされた準備室の鈴木先生の横顔を見るのが好きでした。卒業した吉沢が廃校舎を取り壊す立場で鈴木先生と再会します。忘れた筈の初恋です。
『ふたり追いし、かの未来』廃校になった高校から転入した1年の黒宮は、新しい学校で友達になった木下と廃校舎に行きます。片想い相手とその彼氏に鉢合わせした木下は、工事中の騒音の中、大声で泣きながら駆け出し、黒宮も同じく叫びながら追いかけます。アオハルです。
『フロム•グリーンキッチン』同名の単行本の内容が相手(高野)サイドから描かれます。スーパーの惣菜部で働く名切と常連のリーマン高野のお話。
『クロスライン』廃校舎を巡る3CPそれぞれのラストシーンのちょっと後が読めます。食後のコーヒーのような満足感が得られます。
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